『いま♡りあ』 著:武田弘光 レビュー、感想
武田弘光先生2冊目の単行本『いま♡りあ』、先日発売された3冊目の単行本『シスターブリーダー』を読んで過去の作品にも興味を持ったので先日購入させていただきました。
どちらも単行本もかなり質の高い作品が詰まっている素晴らしい一品でした。
武田弘光先生は『マケン姫っ!』(富士見書房) の作者でもあるので、比較的成年コミックに寄稿されている漫画家の方々の中でも知名度はある方なのではないでしょうか。
全年齢向けの漫画と成年コミック両方を同時に描いている漫画家さんはあまり見かけないように感じられます。前者から武田弘光先生を知った方にとっては嬉しいことこの上ないように思えます。
本来ならば最新刊である『シスターブリーダー』の記事を書く方が、時期的な観点からして適切ではあるのは重々承知しておりますが、今回はあくまで私が新しく購入した方の『いま♡りあ』についての記事を書かせていただきます。
例の如く若干のネタバレが含まれていますのでご注意ください。
表紙、裏表紙
全6話(+描きおろし1話)で構成されている単行本であり、その内の4話(+描きおろし1話)が表紙に描かれている「愛原ほなみ」が中心とした物語、『いま♡りあ』で占められています。残りの2話は読み切り作品となっています。
『いまりあ』は前記事の『変身』と同じく、1話あたりのページ数が平均して30ページと通常の作品よりも多く、非常に読み応えのある作品となっています。絵のクオリティも表紙の物とさほど差はなく、絵柄の観点からしても非常にハイクオリティな作品です。
本記事では単行本の大部分を占める『いま♡りあ』に焦点をあててレビュー、感想を作成していきたいと思います。
概要
男「カズヤ」はアイドル「愛原ほなみ」の大ファンである。とある事情によりこの2人は同じアパートに住んでいるが、ほなみはカズヤを自分のファンであると認知しておらず、カズヤ自身もほなみに自分は彼女のファンであることを伝えていない。
しかし偶然にも両思いであることに気付き、交際するまでに至った2人であるが、スキャンダルに発展してしまい大々的に報道されてしまう。ほなみはそのスキャンダルによる彼女の今後のアイドル生活で得られたであろう利益を、負債金として請求されてしまう。しかしながら1ヶ月の「着エロイメージビデオ」の撮影を条件に負債金の免除を提示されたほなみは必ずカズヤの元へと戻ってくることを約束した上でそのロケへと赴くのであった。
レビュー、感想
『いま♡りあ』もまた『変身』と同じく「快楽堕ち」を主軸とした作品でしたが、本作品においてはクスリのような過激な物が関わってくるような快楽堕ちではなく、媚薬等のヒロインが後戻りできなくなるような道具は使用していますが、あくまで純粋な(?)快楽堕ちの作品でした。クスリのような、読んでいて非常にいたたまれなくなるような快楽堕ちの作品ではなかったので読者側としても十分に安心して読むことができる素晴らしい作品ですね。
話の展開としては
①行為無しのいたずら程度のシーン
②過激ないたずらシーン
③行為込みのシーン(快楽堕ち)
と、『シスターブリーダー』と若干パターンは重複しており、展開としても王道なものではありますが、武田弘光先生の圧倒的な画力及び台詞などの話の展開以外の要素が、全く飽きさせない物とさせています。
快楽堕ちの作品と言うことで、物語の中盤以降は要所要所で「アヘ顔」が非常に多く見受けられるのですが、その表情が非常に性的に描かれています。また同じアヘ顔でも目の描かれ具合がシーンによって異なっているため、見ていて非常に楽しめます。
また快楽堕ちをした証拠として描かれているのかどうかは不明ですが、「ハート目」で描かれているシーンが多数見受けられるのが個人的なお気に入りポイントです。同じ目でもハート目だと印象が大幅に変わりますね。
表紙のほなみもハート目です
上記であげた物語の展開の①と②の間には「ほなみが撮影を嫌がりサボるシーン」及び「その罰のおしおきシーン」があるのですが、そのシーンの存在によりそれ以降「ほなみが逆らえない状況」また「ほなみの快楽堕ちへの土台」を作り出しています。①から②の間にヒロインがサボるというクッションを1つ置くことができるのはページ数を多く割くことができる作品の特権ですので、ページ数が多い作品にはマンネリ化を防ぐためにも、ぜひこのようなシーンを追加してほしいものです。
行為のシーンそれぞれも非常に性的でどのシーンも楽しめます(申し訳ないですが語彙不足により当分はこのような表現しかできないです)。武田弘光先生の特徴としてスケベランジェリーを多用する点があげられるので、そのようなシチュエーションが好きな方にとっては持ってこいなのではないでしょうか。
『シスターブリーダー』も『いま♡りあ』もボテ腹エンドを迎えるのですが、私は「妊娠=幸せになった証拠」として捉えがちですので、この終わり方は非常に私好みのものです。
最終的に物語はほなみがエロアイドルとしてデビューする一方で、カズヤは以前と同じアパートに住みながら、彼のもとに送られてくるほなみのビデオを見ながら寂しく過ごす日々を送ることになる結末を迎えます。アイドルの恋愛の厳しさを教えてくれる非常に意味のある作品でした()。
まとめ
・快楽堕ちはインモラルなものでなければ読んでいて非常に楽しい
・同じシーンでもハート目であるかないかで受け手の印象は大きく変化する
・武田弘光先生の圧倒的画力が物語をよりハイクオリティなものにしている
です
予告
今まで数話で1つの物語となる作品の記事を書いてきたので、次回は読み切り作品のみが掲載されている物のレビューをしたいと思います。候補としては『COMIC X-EROS #43』または『ガールズトーク』あたりだと思われます。